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おおいた温泉道 河口敬一郎さん 由布市湯布院町川西・奥湯の郷

大分県の宿

 「まさに秘湯。青いお湯と大自然を満喫できます」
 温泉名人の河口敬一郎さん(39)=別府市=が案内してくれたのは由布市湯布院町川西の温泉宿「奥湯の郷」。国道210号から小道に入り、うっそうとした森の中を進む。所々にある看板を確認しながら10分ほど車を走らせると”隠れ家”のような宿に到着した。
 「気持ちいい」。目を細めて入る温泉は青白い濁り湯。「青湯」が楽しめる温泉は国内でも数少ないという。湯には青色の原因物質となるメタケイ酸が多く含まれ、空気に触れることで青くなるそうだ。色合いは時間や天候、気温に左右され、薄い青色から紫色、青白い濁り湯へと変化する。
 泉質はナトリウム—塩化物泉。とろみのあるお湯は肌に優しい。メタケイ酸には保湿効果もあり、「肌がつるつるになります」と河口さん。源泉は99度。湯を竹の枝に伝わせて流れ落ちる間に冷やす「竹製温泉冷却装置」を使い、加水は一切しない。湯船は少し熱い42度前後に保ち、源泉掛け流しを満喫できる。
 宿には、内湯と露天風呂付き貸し切り家族風呂がある。「露天風呂がお薦め」と外へ。緑に囲まれた大自然の中、鳥のさえずりに耳を傾けながら漬かるぜいたくな時間。温泉の周囲に咲くツツジのピンクと青湯のコントラストが美しい。「ホタルや紅葉など四季折々の季節も感じられる。お薦めだが、あまり有名になっても困るなあ」と笑った。
 仕事は、別府市内でフリーペーパーを発行する会社の社長。「別府を知るには温泉を知らなければ」と名人を目指した。すると、泉質の違いなど温泉の奥深さに魅了された。いつでも温泉に入れるようにと別府市に引っ越したが、それでも月に10回は温泉巡りをする。「私にとって温泉とは人生なんです」

 かわぐち・けいいちろう 大分市出身。別府市内を対象にした大衆娯楽フリーマガジン「イーヤン」を発行するクリオシティおおいた社長。現在は、別府八湯温泉道2巡目に挑戦中。

 「奥湯の郷」(TEL0977・84・2789)の立ち寄り湯は午前10時から午後3時まで利用可。宿泊もできる。入湯料は中学生以上500円、小学生300円、小学生未満は無料。